殺したのは誰だ?

殺そうと考えたのは何故だ?

愛しい彼をどうしたいと考えた?






全ては謎な中

ただ、静かに時間は進んでいく。





<現実と非現実の狭間>












赤く真っ赤に染める手のひらに、うっとおしささえ感じた。
汚いと汚れてしまったと、真っ赤に染まる自分の手に嫌悪感さえ感じてしまう。
























           アスラン





うるさい。






           アスラン、どうしたの?





名前を呼ぶな。
吐き気がする。
誰にでも優しいお前は嫌いだ。







           アスラン、大好きだよ。






うるさい。しゃべるな。
気持ちが悪い。
何故、名前を呼ばれなければならない。
いちいち名前を呼ばれることが嫌だと感じる。
毒づく自分にさえも。
瞳を閉じると嫌でも彼の顔が浮かぶ。
いつしか、独占じみていく自分がおかしくなるような気がして、それは、どうすればソレを無くせるかという自己防衛へと変わっていく。
オレがオレであるように。




答えを見つけるのは簡単だった。








手に馴染んだ戦闘用のナイフを片手に握りしめ急所をねらう。
狙う相手は良く知っている彼。
何も知らずに無邪気に笑う彼にオレも微笑んだ。










そして              真っ赤なソレがオレの手を汚した。




















「ここはやめないか?」
「えっ、どうして?」
バスケットを片手に桜を見つめるキラにアスランは提案した。
桜からアスランへと身体を動かし首を傾げる。
すまなさそうな表情をしながらも「ちょっと...」と、それだけいい黙ってしまったアスランにキラはニコリと微笑んだ。
「いいよ。じゃあ、あっちのほうへ行こうよ。」
「あぁ、すまない。」
先に立って歩くキラの後をゆっくりと追いかける。
先までみていた桜の木を見て自分がキラを殺すことを考えていたなんて思いたくはなかった。
現実には起こってほしくない事実だ。


懐に手をのばし堅いそれを掴んだ。
冷たくて堅いソレは軍に慣れ親しんだ自分の身体にはある種安定剤のものになっている。











「アスラぁン〜、早く早く。」


いつの間にか足を止めていてキラとだいぶ差がついてのかキラが手招きしているのを見て一声かけ、少し小走りになりながらもキラの元へと向かう。
「どうしたの、本当に大丈夫?ボーとしているよ。」
並んで歩きながらも尋ねるキラにアスランは口を開かずに苦笑を向けた。






そして、先ほどまでいた場所へと顔を向ける。珍しく濃い色をしている桜の木。
桜の木の下には死体があると迷信めいて聞く。








桜が綺麗なのは、人の血を多いに浴びているからだと。





(ならば、キラの血を浴びた桜はどれほど素晴らしい桜を咲かせるのか?)



















振り返って先ほどまで立っていた桜の木を見つめ、アスランは目を細めた。


















+あとがき+
黒いアスランが書きたくて...。
時期的には、かなり違いますけど;;
キラを殺そうと考えていたのは、“夢”であり現実に殺したいとは思ってませんよ。
ただ、キラが別の相手のところに行ったときにはキラを殺して自分も死ぬって感じのアスランです。
やっぱり、補足いれなきゃ分かんないよね(凹)
でも、私はこんなアスキラも好きですょvv



20050905