鏡のなかにはキラの姿があった。

外見キラ。

中身アスラン。

どうしてこうなったのか。









<胡蝶の夢>











アスランはベッドに腰を下ろし頭をかかえる。

「良く考えろよ。確か...」

アスランの知る戦争は4年前に終戦を迎えた。

キラと敵同士だったが、共に戦うことを決意し、『正義』の機体を手に入れた。

共に戦い、戦争を終わらせ2年半もかけてようやく落ち着きを見せてきた。

そして、誰にも知られることなくキラと共に姿を消した。

月に家をおき、ひっそりと暮らしていた。

はずなのだ。

だが、今アスランの乗っているのはAA。

しかも、キラの友人、サイやミリアリア、はては戦争が終わって少したったころにキラに会いに

きた友達のカズィまでもが、軍服を着ていた。

戦争が終わってからは軍服は燃やされた。

戦争はもうしないと『誓いの証』。

だが、彼らは軍服を着ていた。

それに今は亡きはずのトールとフレイもいた。

トールのことは、キラやミリアリアに聞いたことが会った。

さきほどトールを見てキラとミリアリアの言っていた彼だと瞬時に分かった。

もちろん、フレイのこともキラに聞いていた。

が、写真やフレイの顔が分かるものが一切なかったのだ。

キラは、アスランに素直に

『僕の憧れの人だったんだ』

と言っていた。

キラが興味を抱く人はたいてい大人しい如何にも女の子というタイプが幼少時代の印象だったので

フレイを見たときは驚いた。

そんな2人が生きているということは4年前の戦争を今しているということ。

しかも、自分は今外見キラ。

と、いうことは正反対もありえるということで....。

アスランは、そこまで考えて重いため息をついた。

「と、いうことはオレがキラなのかな。」

驚いているだろうけど.....。

「遊んでいるだろうなぁ。」

確信のもてる答えだった。

伊達に、長年幼馴染をやっていない。

「とりあえず、キラに会わなきゃどうしようにもないからなぁ。」

現在のキラは22才。

いくらいつも子供っぽくても22才。

不安は、やはりあるが大丈夫だろうと、どうにか言い聞かせアスランは立ち上がった。

「まずは、食事にしよう。」

中身はアスランといえど外見はキラ。

やはり、戦争のためか極度にやせすぎている。

こんな体でよく戦っていられるなと変な関心をもちながらも部屋を後にした。

20040726