「僕たちは、どうしてこんなところまで来てしまったのだろう?」


「逃げるな!生きるほうが戦いだ。」


「私の想いが貴方を守るから....」


「何と戦わねばならないのか、戦争とは難しいものですわね。」


「思いだけでも 力だけでも」


「ア...スラン? アスラン・ザラ」


「キラ? キラ・ヤマト」







<胡蝶の夢>




現在、アスラン・ザラは困惑していた。

どうして、ここに?とか

どうやって、こんなところに?とか
どうして、キラ?とか

自分らしくない。

こんな困惑しているのは....。

自分自身それは、分かっている。

だが、分かっているからといって困惑している原因が分かるわけではない。

彼が呆然としているとアスランの周りにいる彼らは不振に思ったのかアスランのほうへと顔を

向けている。

「どうしたの?」

ミリアリアの心配げな声にも呆然としているアスランは気付かない。

「おいっ、キラ!」

「キラ」という名がでたことに咄嗟にアスランは顔を上げた。

だが、キラはいない。

「あれっ?キラは?」

そう声に出して聞くとアスランの周りにいた彼らは、ますます不振な顔になった。

そして、一つため息。

「キラぁ〜、いくらボケているからっていって自分の名前を忘れるなよ.....。」

・・・・・・今、彼は何て言ったのか?

「キラ?」

自分のほうへと指を指したずねると全員が首を縦に振る。

全員の表情は大真面目だ。

ボケているとは思わない。

「・・・・・・あっ、そっか。そうだね。」

その場しのぎといえようか。

アスランは、相槌をうつしかなかった。

「なぁ、キラ。俺たちの名前分かっているよな?」

「あぁ、左からサイにカズィ、トール、ミリアリアで・・・・・フレイ・アルスターさん?」

「ちょっと、キラ。今さら私のこと『さん』付けで呼ぶなんてどうしたの?」

自分だけ忘れられたかのように言われ少し腹がたったのかキッと睨みつけた。

だが、とうのアスランは彼女を知らない。

キラから、話しを聞いただけで実際会ったことはない。

いや、もう会えないのだ。

だが、アスランの目の前には実際に彼女がいる。

なぜ?

と不思議に思う前に皆の白い目が一斉にこちらを見てきたのでアスランは苦笑いをしながらこの場を

逃げることにした。

「ごめん、ちょっと疲れているみたい。部屋で少し休んでいるね。」

極力、キラの口調に合わせて。

「あっ、うん。大丈夫?」

その言葉に納得したのか彼らはどこかホッとしたように笑った。

「あぁ・・・・・いや・・うん、大丈夫だよ。」

アスランは出来るだけ早くここから出るみたいにソコソコに話しを終わらせ部屋を後にした。

キラと共に戦ったいたこともあってか、AAの中は良く分かっている。

もちろん、キラの部屋も。

食堂からキラの部屋までに何人かのクルーに出会ったがアスランのことをあまり気にしていない。

そんなクルーにアスランは不思議に思い、足早にキラの部屋へと歩き出した。




















部屋へと入り、ロックをかけアスランは小さな風呂場へと向かった。

この部屋に鏡は風呂場にだけしかないのだ。

鏡を見たら、案の定できれば当たって欲しくない状況だった。

「これは、現実か?」

疑わずにはいられない。

艦の中には見慣れた自分の姿ではなく、彼の愛しいキラの姿があった。







20040618