あの日、僕のほうを見てくれた君

あの日、僕たちは真剣に向き合った

側にいられる。

何となくそう感じていた......それは、僕だけだったのだろうか?









Cry for the moon

















イザークとディアッカが家に訪れてから何日もしないうちに彼女はあらわれた。









       ピンポーン







今では古風なチャイムの音がキラ宅を響かせた。

その音にキラはパタパタと廊下を出て、玄関へと向かう。

途中、もしかしたら....と彼の顔を思い出す。

前に会ったのが1週間前ほど。

アスランとカガリの婚約発表後に彼ら二人は一度遊びに来てくれた。

ただ、その時のカガリの表情を不信に感じたがあえて聞こうとはしなかった。

聞こうとする前に、目を合わせること事態嫌だと感じてしまったから。











内心期待しながらも、玄関の扉を開いた。

「こんにちは。」

扉の前にいたのは

「ラクス?」

ピンク色の髪をした、歌姫のラクスだった。













「久しぶりだよね。ラクスに会うのは。」

アスランでは、なかったことを残念に感じながらも、それでもラクスが訪れてきたことに

嬉しさを感じ家の中へと招き入れる。

「ええ、沢山の方に私の歌を聞いてもらうために少し出かけておりましたの。」

「そっか。」

戦争が終わったとはいえ、些細なことでナチュラルとコーディネーターが喧嘩に

なるのは、ほとんど毎日。

そんな些細な喧嘩がいつかまた、戦争へと繋がるのではないかとキラは恐れていた。

当たり前だ。

フリーダムのパイロットだったとはいえ、以前はストライクに乗って友達を守るためだけに

訓練も受けずに半場強制的に戦場へと向かっていたのだ。

パイロットになるための訓練など一つも受けていなかった彼が戦場で戦えたことが奇跡だ。















キラとラクスは、少しお互いのことを話すがすぐに話しはつきてしまった。

ラクスの紅茶をすする音に何故かキラは敏感に反応してしまう。

そんなキラの様子にラクスは苦い笑いをするしかなかった。

理由は2人とも知っている。

あの時、ラクスがいったあの言葉。

その言葉が今、ラクスに対してヨソヨソしい理由。













20040718