側にいるのが当たり前だった。

側にいない。そんなこと考えられなかった。

だって、側にいることが当たり前だったのだから。










Cry for the moon

















「邪魔するぞ」

「おじゃま〜」

今日の天気は晴れ。

ピクニック日和といっても良いような日に、珍しくも彼らが訪れてきた。













「やっぱり、姫の家だけあって綺麗だなぁ。」

少し驚きの声で辺りを見回す彼にキラは苦笑した。

「あんまり、ジロジロ見ないでね。ディアッカ。最近全然片付けていなかったから。」

キラはそういいながらもキッチンへと入り3人分のカップを用意する。

「2人とも、コーヒーと紅茶どっちがいい?」

「俺は、コーヒー。」

「・・・・・紅茶。」

「うん、分かった。」

2人の答えにキラは内心微笑んだ。









性格が全く違うのにどうしてこんなに一緒にいられるのだと2人に対しての第一印象はそれだった。











透き通るような、宝石に劣らない銀の髪をもつキラの元敵であった、イザーク・ジュール。



月のような綺麗な色の髪をしたこちらも元敵であった、ディアッカ・エルスマン。









性格も何もかもが正反対。

意見も分かれることが多々あり口げんかをするのが当たり前と思えるくらい反対だった。

けれど、喧嘩をしながらも、いつも2人側にいる。

喧嘩といっても、殆どはイザークの八つ当たりや照れの一つに過ぎないが。











       羨ましいな。」





ポツリとそう溢しながらもキラは飲み物と簡単なお菓子をテーブルへと置く。

「何か言ったか?」

「ううん、何も。」

キラは首を横に振りながらも否定するがイザークはいかぶしげな顔をする。

そんな表情を見てどこか、するどいなと思いながらも、何も言わなかった。


















20040708