君が彼女の側にいる

君が僕の側にいない

ねぇ、昔に戻りたい

そう思ったら駄目なのかな?










Cry for the moon

















彼ら、アスランとカガリが『婚約』した。

どこから洩れたのかオーブは今その話しで持ちきりだった。

テレビのほうでは毎日のように2人の話しで盛り上がっており、たまに2人で話し合っている

写真がでてきては微笑ましいと祝福している。

元オーブのカガリの父、ウズミ・ユラ・アスハが亡くなってからオーブは暗かった。

だが、今はその暗さがなく、喜ばしい話題でもちきりなのだ。



















「カガリ!」

今日も今日とて戦争の後始末のために会議が開かれる。

最近......ここ一週間ほど毎日会議が開かれているため疲労がましている。

会議に嫌気がさして何度サボってしまおうかと思ったことか。

そんな、アスランの目の前に愛しい彼女が歩いていた。

「アスラン?」

惚れ気かな?と自分でも思いながらも自分のほうへと振り向き名を呼んでくれただけで

今までの疲労がとれたような感じがした。

そんな自分に苦笑しながらもアスランはカガリのもとへと小走りで向かい一緒に歩きだす。

「会議以外で会うのは久しぶりだな。」

「あぁ。」

久しぶりに、素のアスランに会えたことでカガリは微笑みながらもアスランの顔を見た。

戦争が終わり、婚約者になったにもかかわらず私事で2人で会うことはなかった。
















いつも、ラクスやキラなどと会っているから。

2人きりにはならない。

皆に会えるのは嬉しい。

いつも、山のような仕事のため、なかなか会えないから久しぶりに会って遊んだり話したりする。

帰りはいつものように、アスランが送っていってくれる。

でも、それだけ。

















                か?」

「えっ?」

「君は、人の話し聞いていたか?」

アスランは一つため息をつく。

「すまん、もう一度いってくれ?」

「だから、順調にいけば明日で会議は終わるから来週にでも出かけないか?」

「っ!?」

一瞬、心の中を読まれたのかと思い嬉しく思った。

首をブンブンと縦にふる。

アスランは、カガリのそんな様子にクスクスと笑いながらも言葉を続ける。

「最近、キラが元気なかったからな。二人でキラを元気づけてやらなきゃな。」

「えっ?」

「えっ?って、だから元気づけてやるために遊びに行くんだろ?」

「あっ、あぁ・・・・・・・・そうだな。」

「じゃあ、オレ、イザークのところによってから行くから。」

それだけを言ってアスランはカガリから離れていった。

アスランが見えなくなって、カガリはため息をついた。

「馬鹿だな、私も。」

久しぶりに自分の姉弟に会えるのは嬉しい。

だけど、

「この、キラバカ!」

悪態の一つでも言わなければ気がすまない。

カガリは複雑な気分だった。
















20040604