どうして君は、彼女を選んだの?

どうして君は、僕の隣にいてくれないの?

どうして君は、僕の双子の姉を?








Cry for the moon

















「.......そっか、おめでとう。突然のことでびっくりしたよ。」




びっくりした。

それだけじゃない。














彼に

裏切られた。

信じていたのに。

ずっと、側にいられると思っていたのに。










彼女に

嫉妬した。

そばにいるのは、君じゃない!

そういってやりたかった。














胸が痛くて、痛くて。

心が叫んでいる。








                       何で、カガリなの?


                      隣にいるのは、僕じゃないの?





















心の中で、何度もそう言っている。

でも、そんなこと言えるわけがなく僕は二人に微笑みかけていた。

特にできるだけ、アスランの顔を見ないように。

僕の言葉にアスランとカガリはお互いに嬉しかったのか微笑みあった。

アスランの隣はカガリなんだと知った。

彼の幸せはカガリと共にあることだと知ったから。

ただ、ただ微笑んでいるしかない。

祝福しなければいけないことなのだから。

















二人は、それから少しだけ今の現状を話してから帰っていった。

今から、皆に言いにいくんだってカガリが顔を真っ赤にしながらも幸せそうに笑っていた。

「っく.....」

彼らを見送って、見えなくなった頃にドアを静かに閉めた。

「なんでっ・・・・」

ドアに寄りかかりながら膝を抱えて声を殺して泣いた。

胸が痛くて、とても悲しくて泣き続けた。

それでも、声を上げて泣かなかった。

泣けなかった。













『声を殺して泣くことほど泣けないことはないのですよ。』











戦中、そういってくれたピンク色の髪の彼女はそういってくれた。

でも、声を上げて泣けない。

これは、喜ばなくっちゃいけないことなんだから。

本当は、泣いたらいけないことなんだから。













                              何で?

                                ナンデ?









ナンデ キミは カノジョを エランダノ ?