気付かないままでいて欲しい。

ずっとずっと側にいて欲しいから

だから、どうか どうか









「アスラン、愛しているぞ」

初めて聞いた彼女のその言葉は、どこか暗い声音で発せられ不思議に思った。

嬉しい言葉なはずなのに、そこまで嬉しいとは感じられなかった。



むしろ、

「どうしたんだ、突然?」



まっすぐ見つめてくるアスランに複雑な気分を覚えた。

カガリは自然とアスランから目を逸らす。

「アスランはさ....」

「んっ?」

言葉に詰まるカガリにアスランは優しく問い返す。

それだけの動作に胸がドキドキといっている。

「アスランは、キラのことをどう思っているんだ?」

視線を合わせられずにカガリはたずねた。

「・・・・幼馴染で親友だよ。」







その間はなんなのか?





聞かなければ良かった。


聞いた後で後悔した。


でも、聞かずにはいられなかった。


そして、あらためて思い知らされたような気がした。





「それが、どうかしたのか?」

本当に不思議に思っているのかアスランの声は不振気だ。

カガリはアスランのほうをむいた。

何の曇りもない瞳。

その瞳にうつされているのは本当に自分なのだろうか。









           「お前は、キラが好きなんじゃないのか?」





口に出ようとした言葉にカガリはハッとして口を噤んだ。

「何でもない。」

バツが悪そうに素っ気ない言葉でかえした。

「おかしな奴だな。」

アスランはクスッと一つ笑うとカガリの頭をなでてやった。

愛しそうに、大事な者を扱うように。

頭を撫でられることは、まるで子ども扱いされているみたいで嫌だったがそれがアスランなのか快く感じる。

このまま時間(とき)が止まってくれれば.....。

そう願わずにはいられなかった。









20050127