戦争が終わった。
長かった戦争が、やっと終わった。

僕たちが望んでいた世界が今、目の前に広がろうとしている。

とても幸せ......なはずなのに。





ドウシテ、キミハ ボクノ トナリニ イナイノ ?








Cry for the moon

















戦争が終わってから、キラは一人地球に暮らすようになった。

前線に出て、戦っていたからなのか疲労が誰よりも多く戦争後の後片付けはしなくていい

と皆に言われた。

本人は、皆がしているのに僕だけと批判したが誰も認めてはくれなかった。

仕方なく、キラは地球に下りて一人静かな暮らしを始めた。

週にに一度、何があってもキラの親友のアスランや唯一血のつながっているカガリや

歌姫であるラクスなどがキラの家に訪ねてくる。









そして、今日は彼らが遊びに訪れてきてくれる日。














「久しぶりだな、キラ」

「うん、久しぶりだね。アスラン、カガリ。」

ここ最近は、ラクスやマリュー、それにミリアリアやディアッカが訪れてきたが、

アスランとカガリが訪れることはなかった。

彼女らが訪れてくれるのは、とても嬉しかったがキラにとって彼が訪れてくれる日はとても嬉しかった。

そんな彼が今日は会いに来てくれたことに喜びを感じキラはアスランとカガリを家の中へと招き入れた。















「ミリィやディアッカから、二人は仕事が忙しいって聞いたけど無茶しちゃだめだよ。」

キラは先ほど出来上がった料理を二人へと出し、椅子へと座った。

今日は久しぶりに来てくれた彼のために少し豪華に作った。

戦中、ろくに何も食べなかった頃もあったせいか戦争が終わってからも、キラは誰も

いなければ何も食べないという習慣がついてしまった。

そのことを一番最初に気付いたのはキラが大切に思っている彼だった。

知られてから、彼はキラを怒鳴りつけキラはキラで「昔のようだね」と笑った。

そういったキラにアスランは呆気にとられたがその後、怒鳴りつけず苦笑した。

「そうだな。」と呆れた顔をしながらも、どこか懐かしむように....。

昔は、それがアスランとキラの日常だったから。

アスランは、そんな体質になってしまったキラのためにか極力キラのもとへと

訪れていたが後処理のほうがおいついていかなくなりキラのもとへと来るのも自然と少なくなった。

仕方なく、アスランはカガリやラクスにそのことを話し、週に一度は最低一人は

キラの家へと足を踏み入れている。

そのことを申し訳なく思ったキラはせめてものと彼らに昼食や夕食を作った。

料理など、慣れていなかったキラだが自分だけのうのうと生活していることにも不満を

もっていたので料理を自分で作ることにした。

何より、アスランに料理を食べて欲しかったから。


















「あぁ、それなんだが...」

どこか言いづらそうにアスランは言葉を濁した。

「どうしたの?」

彼にしては珍しいと思いながらも何故か料理に手をつけず、どこか改まったアスランとカガリを

不思議に思いながらキラは手に持っていたカップを置いた。

アスランとカガリは、お互いの顔を見合わせ何かを決心したようにキラのほうを見た。







「あのな、実はオレとカガリ『婚約』したんだ。」

「えっ?」









                        今、彼は何て言った?










『婚約したんだ』










                       誰と誰が?











『オレとカガリ』