空を見上げた。



生温かい風とともに曇った空だった。



いやな予感を感じた。










<桜草>








いつものように仕事から帰ってくると、家にはラクスが訪れていた。

驚いた。

この家に住んでいることはバレているだろうと感じていたが、まさか訪れてくるとは思わなかったから。













着替えて、リビングに入るとキラが用意してくれただろう。

アスランにはコーヒーを、ラクスとキラには紅茶がテーブルの上においてあった。

当たり前のように、アスランはキラの隣へと座りラクスと向かい合わせに座った。

「お久しぶりですわね。アスラン。」

自分が、緊張しているのと取ってかテレビでよく見かける歌姫としての笑顔で挨拶された。

それでも、共に戦った仲が少しはあったりしたが。

「えぇ、本当に久しぶりですね。それで、何のために?」

歌姫としての笑みは有難かった。

昔の友人(元、婚約者)に出会えた喜びもあってだろう。

それでも、そんな話をするために彼女が訪れたとは考えにくい。

ラクスもアスランの感情を分かってか、笑みを消し静かに自分を見据えた。

「カガリさんには、まだ話していないのですが.....先にアスランとキラに言ったほうが

よろしいかと思われたので。」

躊躇いがちだが一言、一言言葉を濁さずにラクスは続けた。

「貴方方がいなくなり、私たちは私達なりに復旧作業をしていました。貴方方とは

違ったやり方ですけどね。」



バレていたのか。



アスランとキラはお互いの顔を見合わせた。

実は、キラが家がパソコンを触っていたのもアスランの仕事の内容も実は崖で彼女らをささえていたのだ。

キラは自分たちの乗っていたフリーダム、ジャスティスのMSの中身を少しでも彼女らに詳しく伝わるように

ハッキングをし、内容を少し入れかえたり。

アスランはアスランで偽名を使い、復旧作業に少しでも携わっている仕事につき彼女らのまとめた資料等を

見直し保管するために。

「大丈夫ですわ。気づいているのは、私とジュール様だけでしょうから。」

イザークにもバレていたのかとアスランは内心毒づきながらも口元に小さな笑みがこぼれた。

「おかげで作業のほうも1ヶ月もせずに終わりますわ。ありがとうございます。

そして、本題に入らせてもらいます。その作業をしていた中で勝手ながら貴方方の

資料も見せていだきました。見たのは、私とジュール様だけです。」

頭を下げていたラクスが2人を見据えた。

どこか、キラに対して痛々しそうに。







「キラ、最近軽い貧血や眩暈は?」

何を唐突に言ってくるのだろうと不思議に思った。

アスランのほうを見て首をかしげ1つうなづく。

真剣な顔をしてたずねるラクスにキラは正直にその問いに答えた。

「1ヶ月ほど前からかな。最初は、軽いというか少なかったんだけど倒れたりしたよ。

3週間程たってから序々に少なくなってきたから少し疲れていただけだと思うんだけど。」


その答えにやはりという確信をもってなのかラクスはキラのほうへと顔を向ける。


「キラにお願いがあります。私やカガリ、そしてアスランのことを思うのなら.....」

ラクスは一度言葉を区切る。

何を急にあせったように先ほどよりも真剣な顔をして必死に言うんだろう?

表情でたずねてくるキラにラクスはさらに辛そうな言葉で最後まで子発した。














「アスランと別れてください。」




キラとアスランは目を見開くしかなかった。