<桜草>








桜は彼らの象徴。

出会いと別れ。





ヒラヒラと静かに舞う綺麗な淡い花びら。ひらひら

ただただ静かに舞っている。







彼らが出会ったのは六歳の時。

まだ幼い彼らは無邪気に笑って友達になった。

それから何年かして『戦争』のために別ればなれになった。

まだ子供だった二人には何もできず親の元にいるだけ。

悲しくて歯がゆくて自分たちの力ではどうしようもできなくて。

『約束』をまじわした。







『また、会える』







その言葉はただの願望だったけど







二年後彼らは出会った。

たくさんのことがあって

忘れたいことばかりで





それでも

忘れることは許されない



だけど、共に側にいたかったから.....

一緒に暮らした。











二年にも満たない些細な些細な幸せ。









「キラ.....」

あの別れのときと感じが似ていた。

あの頃と同じで何もいえない自分に腹がたつ。

名を呼ぶしかできなくって

言葉が続かない。

「あの時と立場が逆だね。」

キラは、そんな心情を知ってか微笑んだ。

「?」



あの頃はキラが泣きそうだった。

今にも泣きそうなキラをアスランが宥めていた。

それが、アスランにもキラにも当たり前だった。

だけど、今回は違った。

共に住んでいた場所から離れる相手も違ったけど、それよりも泣きそうな表情をしているのがアスランなのだ。

「あぁ、そうだな」

悔しいけど立場が逆だと思った。

泣きそうな表情をしていると自分でも自覚している。

「泣いてもいいんだよ。」

いつも泣いていたのは自分だった。

きっとこういう時でしか彼は泣かないだろうから。

アスランが不器用なのは知っている。

感情表現が苦手なことも―――

「いや、泣けないよ。」



行かないでくれ。


オレといてほしい。


自分のなかにキラに対してだけ独占欲がある。

感情がある。

でもオレが言ったってキラの体調が良くなるわけがない。







「お前は帰ってくるだろう。」

そうキラは絶対帰ってくる。

自分のもとへと。

「うん、帰ってくる。」

アスランの言葉が嬉しかった。

待っていてくれる。

彼のそばへと、アスランの側へと帰ってきてほしいと願っているから。







一度は殺したと思った大切な人。

失ったと思ったときに全てが真っ黒になった。

『忘れたい過去』

だけど、その過去を持っているから。

失って気づくことを知っているから。

だからっだから

「大丈夫だよ。少しだけ離れるだけだから」

離れても今度こそ

「今度こそ笑って会えるから」









それは、確かな『約束』









きちんとした言葉もなく彼らは相手と反対のほうへと歩き出した。

相手の気持ちを分かっているからこそ

「いってらっしゃい」の言葉も「いってきます」の言葉も言わず相手に微笑みかけた。

それだけで彼らは分かっているから。

















+あとがき+
どうやらこれだけupされていなかったようなので遅くなりながらもup。
と、いうわけで終わりました。
『空白の時間』。ただ、私としましては1ヶ月間がいろいろとあり、なかなか書けず悲しかったです。
そして、書きたいことが結構あったのですが....。
例えば、やきもちやきなキラのバレンタインとか、アスランの仕事の帰り道のキラについての惚気話とか...。
ただ、よくよく考えたら季節が結構違うと思うんですよね!!
でも、やっぱり載せたい!というものもありました。
もし、時間があればやっぱり書きたいので1ヶ月限定とかほざいていたのを取りけそうかな?と。
とりあえず、本編がどうであろうと私的にキラが姿を消したのはこの理由がいい!ということで。
読んでくださってありがとうございます。





+あとがき+
サイト移転に伴い読み直していたりするのですが、今現在運命の中間ぐらいですが
全く、噂というか言われていたのとは異なっていて....な状況です。
まぁ、種だしと言われればそれまでなんですが(苦笑)
キラの消えた理由は(むしろ、消えてないし)この際置いておいて同居生活ぐらいに
考えてくださるとよいです。







『さくら草』=若い時代と悲しみ

20041013

20050423