「でもさぁ、子供のころって正反対のことをいっていたんだね。」


先日のことを言っているのだろう。


珍しくも唐突に言ってきたキラの言葉に意味が分かった自分に感心した。











<ジギタリス草>












新年もあけ残りの休みほ堪能するために、先に一週間分の食材も買いだめしてある。

2人で飽きることもなくはたから見ても分かるようなほのぼのな安心するような空間を作って家から

出ることもなくほのぼのと暮らしていた。

今日も今日とて、アスランと本へとキラはパソコンへと目をむけお互い何も喋らずにカタカタというキーボードの

音と時おり聞こえる本を捲る音。

アスランの本が3分の2ほど読み終えたとき、ふいにカタカタというキーボードの音が途切れたことに気付いた。

不思議に思い、キラのほうを見やればジッと自分のほうを見ている。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「キラ?」

どうしたんだ?という言語をも含めてキラの名を呼ぶ。

キラは考えるように頬に手を当て眉をひそめる。

そんな表情も可愛いなとキラバカ発揮のアスランの頭の中を知らずにキラは急にジーとアスランの顔を近づく。

そんなキラにアスランは滅多に積極的なことをしてこないキラにドキッとし、自分でも分かるくらいに顔が真っ赤だと気付く。

「ねぇ、アスランってさどうして僕のお嫁さんになりたいと思ったの?」





・・・・・





真っ赤だと自覚していた頬が一気にもとに戻り脱力。

開いていた本を閉じキラの顔をもう一度見る。

「ないしょ。」

キラの疑問はいつも唐突で普通の人ならば『はぁ!?』『何を急に?』『唐突な...』等聞き返すがそこはそれ。

長年幼馴染はしていない。

キラの疑問にそのまま返せるようになっている。

だが、ときたま先ほどの返答を返すこともあるが....

「えぇ、何で!?教えてくれたっていいじゃないか!!」

アスランの答えに不満すぎなキラは頬を膨らませる。

だから、それも可愛いんだってと内心アスランは苦笑した。

「いや、それに昔のことなんて覚えているわけないじゃないか。」

あの言葉だっていったのは昔のこと。

「それに、キラは何でそういったか覚えているのか?」

「っ!?聞いてたの?」

「あぁ」

と、いうか同じ部屋にいたんだから聞こえないほうが可笑しいだろう。

でも、キラがあんなに『平凡』に拘っていたのには驚いた。

「むぅ〜」

顔を真っ赤にさせ、キラはプイッとアスランから顔をそらせ再びパソコンへと向かった。

「キラ?」

「うるさい。今、集中しているんだから話しかけないでよ!!」

自分に背を向け、やつあたりのごとくトゲがあるようにアスランに言葉をはなった。

怒らせたか?と思ったが今話してもまた、トゲのある言葉が返ってくるだろうと仕方なく一つため息をつく。

キラには覚えていないといったが実はアスランは覚えていたりする。









アスランの母、レノアから聞いたことを当時はそのまま鵜呑みにしていたなんて言えるわけがない。









『好きな人のお嫁さんになったらその人とずっと一緒にいられるのよ。』











そう。その言葉。

確かに昔も今もキラのことは好きだ。

もちろん、恋愛感情で。

だから、キラのお嫁さんになったらずっといられると思っていた。

でも、よく考えなくても

「キラのほうが『お嫁さん』なんだろうけど....」

苦笑しながらも口に出してしまったことにキラは不信な顔をしながらジーと疑わしげに自分を見つめている。

「やっぱり、覚えているんじゃないの?」

「.....いや、全然。」







・・・・・・・。







「その間はなんだよ!!やっぱり覚えているんじゃないか!!」

キラはパソコンを閉じ自分のほうに向かってくる。

だけど理由が理由なだけに恥ずかしくて言う気はさらさらない。

キラには甘いがこういうところは何故かかたいあすらんはただ苦笑していた。








『ジギタリス草』=胸の思い

20040915