『雨音』
ぽつぽつぽつ
「うるさい!」
この音が嫌い。
うるさい。
何で、こんな水が振ってこなきゃいけないんだ?
それも、人工的に。
「そんなこといったって、止むわけないだろう?キラ。」
クスクスッと僕が不機嫌なのを知っていながらアスランは苦笑している。
「うるさい、バカアス!!」
「あれ、うるさいのはこの雨音じゃなかったのか?」
皮肉もいいところだ。
こんなアスなんか嫌いだ。
「そうだよ!何でこんなものが降ってこなきゃいけないんだよ。」
「やつあたりだよ、キラ。」
アスは僕の座っている、ソファの隣に並んで座る。
「昔、誰かが言っていたじゃないか」
雨は空から降ってくる清らかな水。
その水に、当たれば穢れも取り除いてくれる。
貴方方の殺した者の返り血も、きっといつの日か......。
「って。」
「奇麗事。」
キラはキッパリと答えた。
「まぁ、そうなんだけどね。」
「僕たちは、お互いが敵同士であって僕は多くの同朋を、アスは沢山のナチュラル達を殺したんだ。」
そんな、空から降ってくる水だけで取り除けるほど安っぽいものでもない。
「・・・・だから、その清らかな水といえど、僕たちの「ツミ」が拭えるはずがないんだ。一生。」
「あぁ、そうだね。」
窓の外からの雨を見ながら、何も考えずただただ雨の降るさまを見ていた。
雨音を聞きながら隣の温もりが確かに今いるということを.....。
雨音:雨の降る音
20040609