『自殺』
自分が死んでも、誰が泣くわけでもない。
それは当たり前のように世界には影響は起きない。
それじゃあ.......
ヒュ―――――
独特の高い所から聞こえる音。
「ここから、飛び降りたらどうなるのかなぁ?」
クスクスと微笑みながら驚いている顔を見、嘲笑う。
「こっちにおいでよ。風が気持ちいいよ。」
にっこりと微笑む彼の姿はとても綺麗で、足が彼の元へと向かってしまう。
まるで、魔法のようだとガラにもなく思ってしまった。
でも、そう思ってしまうくらいにとても綺麗なのだ。
毎日というように、彼をみていたはずなのに、見たことのない微笑みに目が釘付けになってしまう。
彼の横に並ぶ。
下が全く見えない。
もし、ここから落ちたら確実に死ねるくらいに高い。
「風が気持ちいいね。」
彼はのんきに呟いた。
トンッ――――――――――――――――
「えっ?」
後ろから、押され当たり前のように.......。
「じゃあね。」
私が最後にみた彼は、やっぱり微笑んでいて手を振ってくれた。
※ ※ ※
「キラ・・・・。」
「何さ?アスラン。」
クルッと振り向き、キラは先ほどまでとは違う彼にしか見せない微笑みを浮かべていた。
「『何さ?』ってコッチが聞きたいよ。」
アスランは一つため息をつき頭をかく。
キラのもとへと歩いていき、足を止めた。
「さっきまで、いた子って俺に告ってきた子だろ?」
その、彼女が先ほどまで立っていた場所、背を押されたら彼女と同じ落ちてしまいそうなところに立ち下を見下ろした。
下では、彼女が落ちたことで、大騒ぎしている。
「行こっ、アスラン。」
自分が彼女を落としたという感情を持ち合わせていないようにキラはアスランの腕に自分の腕をくむ。
アスランは、どこか苦笑したような顔をしながらもキラの好きなようにさせた。
自殺:自分自身で命を絶つこと
20040609