フレイ。



「あいつが可哀想だ」

何?

なにをいっているの?彼女は?

かわいそう?

何故そう思えるの?

「ねぇ、貴女がキラとアスランに同情するのは勝手だけど本人目の前にして言わないでよね。」
「何故だ?」
「偽善ぶられるのは二人とも嫌いってこと。ただでさえ貴女、キラに目の敵にされているのだから」


何で私がこんなこと言わなきゃいけないのかしら。
別に彼女のために言っているわけじゃないもの。
あくまでもキラのために言っているの。


キラを貶すモノなんて殺してもいいくらいなのに。
本人は、それを嫌っているからしないだけ。
殺していいなら、別に何人も殺しているわ。
たとえ、自分自身が危険な目にあっても、殺されても相手を殺されるなら別に自分の命なんてどうでもいい。
キラのために殺されるなら本望だもの。

「キラが、私を嫌っている?何をふざけたことを言っているんだ。双子の私を嫌うなんてありえないだろう。」

愛されて育ったからの言葉。

身内が、血の繋がったものが側にいる嬉しさ。

それを惜しみも隠さずに、目の前にいる私は誰ももうそんな人はいないというのに彼女は、そんな私のことを知らずに嬉しそうに笑っている。
自分の感情さえ、ろくに隠せない彼女が時期代表なんてオーブはやっていけるのかしら?

「何で、そう思えるの?」
「何でって!!血が繋がっているんだぞ。私とキラは姉弟なんだ。
身内を嫌うなんて馬鹿げたことあるわけないじゃないか!それに、キラが私を嫌うなんて考えられない。」
「我侭で、意地っ張りで、弱くて脆い。独占欲が強くてアスラン以外を寄せ付けない雰囲気を漂わせて、
本当の笑顔も泣き顔もアスランにだけしか見せないキラが?」
これでも、私キラのこと好きだけど(もちろん、キラがアスランに向ける感情と同じ)つらつらと出てくる短所に笑ってしまう。
それでも、やっぱり彼が好きなのだ。
「貴女がキラのことをどう思っているか知らないけれど貴女は本当のキラを知らない。
私も、貴女のことは知らないしキラのことだってアスラン以上に知らないわ。だけど、貴女以上に私はキラのことを知っている。」
それがどういう意味か分かる?
微笑めいて言った言葉に唖然としている目の前の彼女。

(だから、偽善めいた人って嫌いなのよ)


一人心中で呟きながら、呟きと共にため息を吐いた。
これ以上話して至って私には利益はないし、ストレスも溜まる。
今の時間ならキラはアスランの与えられた自室にいるだろうと考えると共に歩き出した。
後ろから声が聞こえたけれど無視無視。
もぅ、話すことは億劫だものと結論付けてフレイはさっさと歩き出した。















レイシン。


「おかしくないと思う。」
むしろ、自然なことだと思えた。


彼ら二人が微笑んで話し合っている光景に何故かホッとした。
「シン?」
「んっ、何だ?
」 いかぶしげに自分のほうを見てくるレイ。

「好きだったのか?」

「誰が?」
「お前がアスラン・ザラに。」
そっぽを向くレイに自然と口元がほころんだ。
可愛いなんていったら、ますます機嫌を悪くするんだろうな。
笑いをかみ締め、レイを真っ向からみた。
「いや、違うよ。」
違うんだ。
確かにアスランさんを好きかもしれないと思った。


けど、
くったくのない本当の笑みを向ける相手はキラにだけ。
きっと、あの人のことだから無意識なんだろうけど。
キラと一緒にいるのを見て妙なモヤモヤは少しは胸にあったけど、

自分の好きな相手が分からないオレじゃない。
「レイはどうなんだ?」

不振気に自分のほうをジッとみているレイに反対にたずねた。
「何がだ?」
・・・・・・こいつ、今話を聞いていたのか?
そもそも、ふってきたのはお前からだろう。
「っ、レイはアスランさんのこと好きじゃないのか?」
「いや、それはない。むしろ、何故アスラン・ザラを好きにならなければいけない。」
「いや、恋愛感情としてじゃなくアスランさん自体としてってこと。」
レイはフムッと片手を顎のほうへと持っていき暫く考える。
「・・・・・嫌いではない。アスラン・ザラのとる行動は的確だ。それに、俺ととる行動が似ている。」
「・・・そうだな。」
そんなところに惚れたんだと思う。
目の前の幸せそうな二人。
今では憧れだったと認められる彼と、
憎んでいた、敵視していたはずの彼。


「シン....?」
「オレっ、オレさ......。」
レイの綺麗な瞳をジッとみる。
レイは何も言わず、シンの瞳を見つめ返した。
「レイが好きだ。レイが一番好きだ。」
「シン!?」
目を一瞬見開き、だけど、そっと抱きしめた。
「レイ?」
レイの行動に、シンは驚いた。
「....嬉しい。」
ギュッと抱きしめられているので、どんな表情をしているのか検討もつかなかったが、それでも返事をくれたレイに嬉しさがこみ上げた。






▼あとがき▼

かなり昔に書いたネタ。
マガでも配信した....はず?;;
確か、アスカがアスランに懐いていたときだったはずです。
上でも言っているけど、あくまでアスカがアスランに向けていたのは尊敬。
もしくは、憧れ。なので。
こんな、4人が見られるといいなと思っていたのに...(遠い目)
運命:現在、42話。















シン・アスカ。


『殻に閉じこもってばかりいれば、君はそれでいいかも知れないけれど、それは君のためになるものではないと思うよ。』

何もかも見透かす視線に目を背けたくなる言葉。

ソレを放つ彼の言葉は誰に囁いた言葉なのか?

知らず知らずに聞いた、戦中のノイズに一瞬心奪われた。
言われたことは、まるで自分に向けられて発せられたと思われたから。



■□■□■

弱い自分が嫌だった
。 弱い自分に嫌悪した。

何も出来ず、
だけど、
もがきもせずに



ただ

ただ、

現実から目をそらしていた。



現実をみるのが恐くて
目を閉じて
耳をふさいで

弱い自分が嫌いなのに、そうやって弱い自分をさらけ出しているのは逆に滑稽だとさえ感じた。
何も知らないあの頃とは違う。
何も知らずに笑っていられたあの頃のままではいられない。
それを、知ったのは家族を喪ってから。
どれだけ大切な人だったか。
温かく見守ってくれる父と母。
無邪気に笑みを浮かばせてくれる妹。


幸せだった。
自由気ままに、中立としての立場に居座る自分達。
コーディネーターもナチュラルも同じ人間なのだと思っているから。
頭がいいとか関係ない。体力が少し良くったってやらなければ出来ない。
コーディネーターだって所詮は人だ。
ただ、自然に生まれた存在ではないだけ。
たった、それだけのこと。
でも、それは反感を買う言葉だと知らない。
“少し良い”というけれどその少しはコーディネーターにとってということで。
そんなコーディネーターを見て挫折していくナチュラルは数知れない。
共存できるとオーブの民は思っているけれども、いつしか戦争が起これば“中立”なんて言っていられないのだ。
しょせんは、オーブの首相はナチュラルで。
貫き通す信念がいかに難しいものかを後を継ぐ彼女は知らなかったのだ。
知らなかったからこそ、今オーブは“中立”を守っていない。
既に“地球軍”に属している。
のうのうと、先の終戦へと導いた白き天使のもとへと、オーブを捨てて居座っているじゃないか。
何が、“中立”だ?自分の立場が悪くなったらもがきもせずに、戦場にたって何をしているというのだ?
政治なんて全然知らないけど、ソレを戦中の中に持ってくるものじゃないだろう。
沢山の死を目の前で見てきて何様のつもり?
亡くなった者たちのためにも、自分は早く自国に戻りたい?
何を馬鹿げているのだ?
お前がそこにいなければ、あんなことにはならなかったのに。



『君は信じたいのじゃないか?』
それを告げられたとき、はっとしたけれど今では何とも思わない。
自国のことを言われたはずなのに、それはどこか自分の生まれ故郷のように思えなかったのだ。

悲しいとか
寂しいとか
そういった感情はないけれど、ただ無性に胸が締め付けられた。


今だ、自分は弱いままなのだろうか?





+ + +
キラが戦闘介入した後の話。
アスカが知らないことを知っているのは、まぁスルーという形で(汗)
アスカは戦闘では強いかもしれないけれど、弱いままでもあると思って書いたはず。
キラシンでもなく、アスシンでもないので!!















指輪。


「イージスのパイロットは死にました。」
「っ。」
キラは目を見開きニコルの両肩をつかんだ。


「ちょ...うそでしょ!?ねぇ、うそでしょ?」

キラの驚きように皆はまた違う驚きでキラのほうを見た。
信じたくないというような、言葉で言わなくても分かるぐらい表情がでていた。
青ざめた、今にも倒れそうなぐらい足がぐらついている。



なぜ、それほど否定したがるのか?



キラの周りにいる彼らには分からなかった。
イージスのパイロットといえばAAの敵である。
ストライクとは何度も死闘を繰り返してきたはずである。
そんなパイロットのために何故そんな表情をするのか?
これが、喜んでいれば分かる。
それが、普通の感情のはず。


「お前が何故そんな風に驚くのか分からないが本当だ。お前らとはまた違う地球軍と戦っているときに...」
迂闊だった。
ナチュラルだと見くびりすぎていたのだ。
ストライクのように強い奴もいずただ数が多かっただけ。
被爆してフェイズシフトダウンして艦に戻ったら座席が血の海とかしていた。


『キ......ラ....』
と小さく聞こえるか聞こえないかな声で一言言った。
幸か不幸かその言葉を聞いたのはディアッカだけだった。
悲しいとか寂しいとかそんなふうに思わなかった。
彼が眠る前にいった一言。
その一言が今までに聞いたことのない優しい愛しい人にしか言わないような声に聞きほれてしまった。
長いとも言いがたいが、アカデミーの時から一緒にいたはずなのに聞いたことのない声音。
きっと、自分よりもしたしかったニコルでさえも。
それは、何故か確信がもてた。
そのときにもっていた大事そうに握っていた黒いピアス。
一つしかもっておらず後から部屋を探したが見つからなかった。
そのピアスとまったく同じピアスを目の前の彼がしていた。
片方にだけ。
「お前って、『キラ』って名前か?」
先ほどから『ヤマト』という名は聞いていた。
だが、どれもこれも後には事務的な『少尉』がついていた。
「そうですけど・・・・?」
そういえば、というように彼らが見ている中でキラと呼ばれた記憶がない。
何故知っているのだろう?
とも、思ったがどうせ誰かが言っていただけだろう。
と一人で納得するだけで終わろうとしたときにディアッカはごそごそと軍の服のポケットから何かを取り出した。
「これに、見覚えは?」
「っ!?」
なぜ、彼が持っているのか?
あれはどう見ても
「何故、貴方がアスランの...!?」



『アスランの』


その言葉を言ってから気付いたように両手をおさえた。
そして罰が悪そうにディアッカを睨みつける。
「返してください。」
片手をディアッカの前に出すがディアッカは引っ込めるように後ろへと隠す。
「いやだね。これは、アスランの形見なん「形見の前にそれは僕のです。」
ディアッカの言葉を遮るようにキラはキッパリといった。
先ほどの睨みと比べようもないほどのディアッカがひるむぐらいの。
「しかたねぇなぁ。」
ポリポリと頭をかき至って平然と渡す。
内心、キラに対して恐ろしさを感じた。
キラはそんな心情のディアッカを気にもせず肩にのっているトリィへとピアスを取り付けた。

「すみません、ここのマザーコンピュータを使わせてもらっていいですか?」
「えっ、えぇ?」
彼らがここに来たことによって、全てが起動していない。
起動できないようにハッキングをされてしまった。
直そうにも、まずはマザーコンピュータのほうが直らなければ意味がない。
キラは、承諾を得るとすぐにマザーコンピュータのほうへと向かいキーボードを打ち始めた。
数分して起動してのかキラはトリィの羽の下にあるコードをマザーコンピュータへと繋げた。
繋げた先には
『共に出会えると誓った不確かな約束。』
と書かれていた。
周りにいた彼らはこれが何を意味しているのか全く分からなかった。
もちろん、それは敵の3人も。
ただ一人、キラだけが一つ微笑みキーボードを叩いていく。
この言葉の意味は

『sakura』
エンターを押した。

画面が真っ暗になり少したつと1人の少年が画面にあらわれた。
キラや敵の3人と何ら変わりのない少年。
軍の服も着ておらずAAの皆は誰か検討がつかなかった。
キラはその画面をみて
「アスラン」
とそう一言だけ呟いた。
『キラ』
画面の中にいるアスランは愛しそうに彼の名を呼ぶ。
その一言にキラは誰にも見せたことのない微笑みを画面へとむける。
アスランは、微笑みを絶やさないまま話し始めた。
『これを見てるってことは、オレが死んだってことになるかな?
もしかしたら、オレが消えたことでイザークやディアッカ、ニコルの機体をハッキングしてAAにいるのかな?』
「アスラン....」


『キラのことなら何でも分かるよ。だてに何年も幼馴染をしていないしね。』



昔のあの言葉がよみがえる。
『友達を守るっていってオレのもとに来てくれなかったのは正直寂しかった。オレよりも友達のほうが大事なのか!?って思ったくらいだ。』
苦笑しながらもアスランは画面ごしから目を離さない。
まるで、本当に目の前にキラがいると信じているように。
『キラは、誰にでも優しいから不安になるんだ。こんなオレがお前のそばにいて良かったのか?
3年たって変わってしまったのか?って思ったんだ。けど、ラクスを返してくれたとき、
あぁ、やっぱり優しくてお人よしで泣き虫であの頃と全然変わっていないんだなぁって。嬉しく思ったよ。
もしかしたら、変わったのはオレかも知れないな。いつか、お前がなぜ戦争をしているのか聞いたよな?
戦争は嫌いだってオレ言っていたのに。でも、母さんが血のバレンタインで殺されて大切な人がいなくなったんだ。
とても戦争が憎かった。コーディネーターとかナチュラルが険悪な雰因気なことは嫌でも知っている。
でも、オレはお前の叔父さんや叔母さんのこと好きだし、ナチュラルとかコーディネーターとか関係なかったんだ。
どちらも同じ人間だったて分かっているから。でも、母さん殺されて黙っていられなかったんだと思う。大切だったから。
本当に。だから、もう大切な人を亡くしたくなくてキラ、お前を守りたくて軍に志願したんだ。
だから、こんな状況になるなんて思ってもみなかった。ただ、お前を守りたかっただけなのに。』








▼あとがき▼

種が終わった後にちまちま書いたもの。
ディー君とイザリィとニコルんがAAに行ってアスランの幼馴染(恋人)に会う場面が見たくて書いた代物...。
前後の話は全くといっていいほどかいてません;;
これが一番最初に書いたものになるんじゃないかな?