心が痛いと嘆く身体。





自分自身の感情が自分で追いつかなくなって、ソレから逃げる。

だけど、ソレは逃げ出してくれなくて、追いかけてくる。

苛立って

拒むのに

拒むことを拒否される。







<嫉妬>





原因は分かりきっているのだ。







「アスラン」

呟いた一言は少し離れた場所にいた彼は聞こえたのだろう。

「どうした?」

振り返り尋ねてくる。

だけど、ソレを離すつもりはないらしく片手に落とさないようにと持っている。

(どうせなら、壊れればいいのに)

そう思ってしまう自分は今ヘンな顔をしているだろう。

「別に、何もない」

「何もなくて、俺を呼ぶのか?」

「何となく」

全身でため息をつくアスランは、仕方がないと言っているように思えた。

仕方がないと思うのはこちらのほうなのに。







やることもなくて


暇で暇で


目の前にいるアスランは相手にしてくれない


アスランが相手にしているのは僕じゃなくて、彼の大好きな大好きなマイクロユニット。


じっと見ていたけど、見ていてもマイクロユニットが好きじゃない僕には全くといっていいほど分からない。








アスランは、何も言わなくなった僕をおいてまた、彼の大好きなソレに一生懸命。





仕方ない。

大好きな大好きなマイクロユニットを弄っているアスラン君のためにコーヒーでも持ってくるかと一人ごちて、

よっと、椅子から立ち、真っ直ぐにキッチンへと向かう。

その間もアスランはキラの存在に気付いていない。

湯を沸かすために火をつけ沸騰するまで簡易な椅子に座り待機中。







どうして自分は、あんな機械馬鹿なアスランが好きなのか結構真剣に悩むが見つからず、

沸騰した湯をカップにいれかき混ぜながら、やっぱり好きなんだから仕方がないという結論しかでなかった。





癪だけどさ。



自分用の紅茶と一緒に持ってリビングに行くと、

「あれ、もう終わったの?」

アスランが片付けをしていて正直に本音が口を出た。

一度手をつけると良くて5時間悪くて一日中作業に没頭している。

「終わったら悪かったのか?」

「ううん、そんなことないけど....あっ、コーヒー入れたけど飲む?」

「あぁ。」

いつものソファへと席をつき、当然のごとくアスランの隣に座る。

はい、とコーヒーを渡す。

アスランがコーヒーを3口4口飲むと、キラはジーとアスランの顔を覗きこんだ。

「珍しいね。こんなに早く終わるの。」

「んっ、寂しそうにしているキラを見たらね。」

苦笑を帯びた表情をするアスランにキラはギョッと目を見開いた。





「なっ、僕!?」

違うのか?

目で訴えるアスランに、

「うっ・・・・ウゥ...」

言葉になっていない濁りを出しながらも紅茶に口をつける。







まともな答えを出せないでいると肩に少しの体重がかかる。

「構ってほしかったんだろう」

「....うん。」

正直に本音を呟いてアスランを見たら綺麗な笑みを浮かべていた。







+あとがき+
長文物というよりは、一つ一つ短編です。
終戦後でもあるんだけど、そうすると結構たまりにたまるので急遽作りました。
めざせ、ほのぼの!めざせ、甘々!めざせ、シリアス!(その前に、他の長編終わらせろ!・痛っ)
甘々が出ていればいいのですが....どうでしょうか?(逃)

20050726