朱や黄、色とりどりの葉が姿を表し始めた。
花のように綺麗で
でも、それとは違った景色。



紅葉の季節である。









<Autumn tint>







キラのいつもの唐突な提案とでも言うのであろうか、

『紅葉が見たい!』

お弁当を既に作り、片手にそれを持ちながら準備を整えて寝室でハロ作りをしていたアスランに満面の笑みでそういった。

拒否権は既にアスランにはなかったようだ。

桜を見るのがお花見なら

葉を見るのは紅葉見なのか口ずさみながらも『紅葉見〜』とアスランより一歩先を歩いている。



そんなキラを見てアスランも自然と笑みがこぼれる。




紅葉を見に来たのは近くの公園で、幸いかどうかは分からないが人はいなかった。
少し肌寒くもなってきているので当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。
そんなことを全然気にしないキラはアスランから見たら子供としか言いようがない。
そう思っても『違うよっ!』と返されるだろうからあえて言わないだけで今回の場合もやはり子供だなぁと思う。
変わらないキラの性格にどこか安心するのもあるが。


そんな彼と敵対していたと思うと今でも疑わずにはいられない。
だけど、それは変えようもない事実であり現実に起こったことである。
悔いはあるか?と問われれば、迷いはあるが悔いはない。と答える自身はアスランにはあった。
自分が信じてきた道を今さら後悔する気ないのだ。



そのおかげでキラとまたこうして出会えたのだからと思うだけでいい。
昔の頃のように笑いあっていられる今だから。



「アスラン。どうしたの、ボーとして?」
「いや。綺麗だなと思っていただけだ。」
キラから目をはなし公園を一度見回した。
隣で嬉しそうにキラが頷いたのを隅で捕らえ口元に上弦の笑みを浮かべる。
家の周りよりも色付きが濃くなっている紅葉の色はとても落ち着く。


(平和だ。)


無意識に出てくる言葉を心中で捕らえていると、
「平和だね」
隣で同じことを考えていたキラにアスランはキラの方を向き微笑む。
「どうしたの?」
「同じことを考えていたと思って」
その言葉に二人はお互いに微笑みあった。
平和な世界で日常を送れることがどれだけ幸せなことか。
その日常に自分の大切な相手が隣にいたらすごく幸せなことだと思える。






明日も、明後日もずっとずっとこのままでいいなと思った。









心の奥底でそれは無理なことなんだと微かに訴えていたとしても.....。











+あとがき+

「空白の時間」を書いていたときのやつをちょこちょこと修正して書きあげたものなので短っ!;;
我侭キラ。
ひとしきり怒った後に盛大なため息をついて軽く苦笑と共に了承してくれるアスランとか書きたいですな。
次回は、そんなの書きたい気分。
で、今さら思ったのですが...紅葉を見ることは“紅葉狩り”って言ったりしてましたっけ?
(すっごい、今さらだな!;;)











Autumn tint:秋の色。春夏秋冬。色とりどりの葉で埋め尽くす山々は輝いて光虹のよう。




20050927