始まっては終わり


始まっては終わり






それは、さながら輪廻のごとく

砂時計のような





何度も繰り返して

繰り返して.....







止めることなどできない

一生続くであろうこと





<時のさばく>





一度は戦争を終わらせたはずなのに、

それは脆くも崩れた。

いや、違ったのだろう。

戦争を“終わらせた”のではなく”停戦”へと導いただけ。

だからこそ、戦争がまた始まったのだ。







先の戦争を知っていたから今度は敵にはならないだろう。

疑わずに信じていた自分。

きっと、自分と彼は同じ道へと進めると信じていたから。

だけど、それは自惚れに過ぎなかった。







道は、違った。

進むべくして進む沢山の道。

どんなに道が沢山あっても共に同じ道へと進んでくれると信じていた。





だけど違った。

それは遠からずして逆の道。







敵となった。



何故?



また、敵にならなければならないのか不思議でならなかった。









戦いたくないと聞いた言葉は違ったのか?





雨は続く、

嫌なくらいに、





神様はいない。

神なんかいない。



殺したのは、自分に懐いていた彼。

味方である、彼が殺した。



誰を?

愚問だ。

それを自分自身に聞くだなんて、



誰を?

それは             











「いい天気だね。キラ。」

「そうですね。」

隣へと顔を向けると”キラ”は微笑んで頷いた。

それに、微笑みを返してアスランはまた空を見上げた。





空へと手をかざして

真っ白い雲へと手を伸ばす。

届かぬことを知っていながらも、

伸ばす自分がただ滑稽に思えた。







汚れた自分の手には、

空へと翳すことは禁忌のようなものの気がして戸惑いながらも伸ばすことをやめなかった。



本物の空ではなくても、

澄んだ蒼い空。

自然と笑みが零れるのは、隣に”キラ”がいてくれるから。





「この平和はいつまで続くんだろうな?」

戦争が終わったわけではない。

また、始まるであろう。

一時の休息であろう平和。

戦争が始まれば、狩り出されるであろう。

二度も戦争に携わっているのだ。

否が応でも戦争に加担される身となる。







「ずっと、続きますよ。」

それが願望であろうとも。

そうでなければ困る。

自分たちが、やっとの間で終わらせたのだ。





“キラ”の言葉に、アスランは首を左右に振り、

「いや、続かなくてもいいんだ。」

「え?」

「キラさえいてくれれば、戦争が起ころうと平和のままであろうと別にいいんだよ。」







誰が犠牲になろうともキラさえいてくれれば他には何もいらない。

キラ以上に、必要な存在なんてこの世にないのだ。

「共に戦ってくれるだろう?」

「っ、・・・・・はい。」

戸惑いながらも頷いた”キラ”に満足したかのような表情を見せた。

憂いに満ちた表情は、”キラ”を苦しくさせるもの。

だけど、それをアスランは気づかないフリをする。

「もう、お前とは戦いたくないんだ。」

「えっ?」

呟いた声は、聞こえなかったのか尋ねられアスランは被りをふる。

「いや、なんでもないよ。キラ。」

「そうですか。」











☆ ☆ ☆



「シン。」

しばらく他愛のない話をしていたら名前を呼ぶ声が聞こえた。

声のした方向へとアスランと”キラ”が振り向くとレイがこちらを見て立っていた。

「あっ、俺はこれで行きますね。」

「あぁ。」

何事か思い出した”キラ”はパンパンッと、膝についた埃を落として立ち上がる。

それにしても、と隣から声が聞こえたと思ったら真っ直ぐ自分のほうへと視線が向いている。

綺麗だった、翡翠の瞳は酷く汚れたような緑だった。

「レイはたまにおかしなことをいうな。」

「え?」

「シンとお前を間違えるなんて」

「・・・・・そうですね。それじゃあ、俺は。」

「あぁ。」

笑って言われた言葉に、ズキンと胸が痛んだ。









☆ ☆ ☆



レイの隣へと並び歩き続ける。

「いつまで続ける気だ?」

「・・・・俺が生きている間、ずっとかな?」





自分は、キラじゃないと言えたらなら。

だけど、信じてはくれたとしても、壊れてしまうだろう。





殺したのは自分。

彼の瞳から翡翠を取り除いたのは自分だ。





シンの自嘲気味な答えにレイは一つため息をはいた。



キラがまだ生きている、側にいると信じている尊敬している彼。











泣けない彼のため泣く自分。


時よ過ぎていけ。


彼が望む彼の元へと旅立てるその日へと






+あとがき+
結構前に書いた代物。MO探っていたら見つかったので載せてみました。
確か、罪悪感に駆られるアスカが見たかったためだったような(うろ覚え)
タイトル見て分かる方も多いでしょうが2クールの有坂氏が歌っていた
『Lefe On Goes』のCP曲『時の砂漠』を聞きながら書いたもの。
凄く気に入っていてお気に入りの曲の一つです。
もし聞く機会があったら是非是非聞いてみてくださいvv


20050509