「シン」

「・・・・・・。」

色っぽい眼差しで、頬を薄らと赤に染め見つめられる視線。

普段と違う彼の行動にシンは何とも複雑な心境だった。







<Wine>











ルームメイトであり、同じ部隊に属しているレイとシン。

二人の性格は対という感じだった。

だからといって仲が悪いわけではなく、むしろ良すぎる仲だった。

それは、周りから見たという感じでだが。

実際、彼らは俗に言う恋人同士。

シンがどうしても皆には言うなと顔を真っ赤にして言うので部屋以外ではなるべく、

くっつかないように心がけていた。





(それも、今日までなんだろうか?)





誰に言うでもなく、遠い目をして周りの視線から現実逃避気味のシン・アスカ。

普段からレイは何を考えているのか分からなかったが今日ほどレイが分からないこと

はない。

むしろ、正直恐い。



先ほど収集がかかり部屋で寛(くつろ)いでいた彼らはブリッジについたときには既に

レイは変だった。

その状況というのも、

「レイ、あんた何シンに抱きついているの?」

同じ紅服を着た同僚のルナマリアは興味津々というように、シンに抱きついている

レイをしげしげと見つめた。

片時も離れるものか!というようにギュッと抱きしめてくるレイにシンは複雑な心境だ。

甘えてくるなんて、滅多に...いや全く無いレイなのに今日に限って何故か甘えてくる。

レイが甘えてくれるのは嬉しいのだが、時と場合というか何と言うか性格がレイじゃない。



ルナマリアの疑問にさえ、レイは無関心なのかシンの顔を覗きこんでくるのだが、

正直いって恥ずかしい。

顔がなまじ綺麗なものだから、そんな彼に見つめられる身にもなってほしい。





「もしかしたら、アルコールのほうを飲んでいるのではないかい?」

艦長の隣でフムッと考え込んでいたギルバートは、いつの間にかシンの前に立って

そう口にした。

「えっ?あっ、はい。」

規則には酒の持ち込みは禁止されていなくシンは素直に肯定した。

なにより、コーディネーターは13歳で成人だ。

酒を飲んではいけない年でもない。

「ギルッ!!」

「おやおや、注意されてしまったかな。」

仮にも議長。

そんな彼にタメ口など罰せられてもおかしくない。

議長とレイ意外は皆冷や冷やものだ。

だが、ギルバートはそんなことを気にしていないのか

「あぁ、因みにレイは酔うと難癖だからねぇ。気をつけたほう身のためだ。」

いかにも、ハッハッハと笑うかのように部屋から出て行った。





(気をつけたほうがいいって.....)







先にいって欲しかった。









「あっ、私用事があるんだった。」

「おっ俺も格納庫のほうに...」

あからさまにここから逃げ出したいクルーは何かと理由をつけ、部屋から出て行こうとする。

もちろん、シンもで。

だけど、

「どこに逃げるんだ?シン。」

後ろから、聞こえるレイの声にビクッと体が強張る。

振り返りたくない。

振り返りたくないけど・・・・。

目と鼻の先の、ドアへと逃げていく同僚やクルー達に助けを求めようとしたけれど、レイは

さらにガシッとシンを抱きしめて恐る恐る振り向いたシンに、それはもぅ見たこともない綺麗

な笑みを浮かべていた。





その後、5時間ほどブリッジから阿鼻叫喚の叫びが聞こえたとか聞こえなかったとか。













後日、

『レイに酒を飲ませないこと』

が、暗黙の了解となっていた。







+あとがき+
久しぶりの更新でございやす(滝汗)
ギャグっぽくを目指したつもりなんですがギャグになりきれていないような...。
ギャグって結構難しいんですよね。
あと、アスランが出てきていないんでまぁ、キラのところにでもいるのかみたいに思って
いてください。
本当は、おまけっぽくあの後、アスランが戻ってきてレイシンと人騒動あったりしたん
ですけどね
(助けてくれと目で訴えるシンと邪魔をするなと視線を向けるレイとか)
でも、それするとアスシン(シンアス)っぽくなるような感じがしたのでやめました↓↓



20050423