目を開けた先には、信じられない奴がいた。



だって、

だって、

……死んだと思っていたのだ。


信じたくない光景をあの時目にしていたから。


ザフトに戻ったのは、裏切ったとかそんなのじゃなかった。
ただ、道が違ってしまったのだと自分自身に言い聞かせていた。






If Story 〜PHASE 43






振れられた手は暖かくて自然と泣いていた。

泣くつもりなんてなかったのに、キラを目の前にしたら自然と涙がこぼれていた。




「ただ、そうありたかった。」

流されるだけじゃなく、自分で選んだ道を迷わずに突き進めるような──。


呟いた言葉は、キラに聞こえていたか知らない。遠のく意識の中最後に見たのはキラの微笑みだった。




















+*+-+*+





ラクスから再び“正義”を受け取ってすぐ、キラを助けるために機体を発進させた。
助けることはできた。
………逆に助けられもしたが。


怪我をおった身体では、最後まで意識を保つことができず、気がつけば医務室で再び目をさました。

不安げに見つめてくる、メイリンを目にして状況を何となく思い出してきた。


「大丈夫ですか?「っていうと、絶対大丈夫って言うよ、アスランは。」

入ってきたと思ったら、笑ってメイリンの言葉を繋げるキラに、

「大丈夫だ。」

心外だというようにふてぶしくいうと、キラはまた笑った。



その後、ラクスとキラは目を合わせ頷きあったことに疑問に思い、だがすぐにラクスはメイリンのほうへ
顔を向けた。

「メイリンさん。少しお話しませんこと?」
「えっ?」
「色々と聞きたいことはあるでしょうから、貴女も。キラもアスランもお互いに話し合うこともあるでしょう?」




メイリンと共に部屋をでていくラクスを目にした後、ドアの前に立っていたキラは
簡易椅子に座り視線を合わせて微笑み、

「お帰り。」

「ただいま....と言えばいいのか?」

「んっ」

満足そうに笑ったキラに自然と笑みを溢した。


戻ってこれたことは嬉しい。
だけど、

「こんな風にしか生きられないオレはバカなのか?」

問う声は、自然と真剣そのものでキラの顔をみて尋ねることは出来なかった。




「……そうかもしれない」

肯定するような言葉を返されアスランはキラの方へ顔を向けた。
向いた先には、真っ直ぐに自分をみてくるアメジスト。

「でも、それが君だ。迷って、決して楽じゃない道をきたんでしょ?
流されていたとしても自分の意志を持っていたんでしょ?」

「あぁ。」

流されたとは思っていなかった。
自分自身で見つけた道を進んでいた。

「本当に馬鹿だな、オレは。」

「君だけがバカじゃない」

伸びてくる手を、払いのけるなんてことはせず、キラのやりたいようにさせた。
頬に温かい手で包まれ自分自身もキラも生きているんだと思わせた。

「皆バカなんだよ。“戦争”から戦ってしか守れるない。
何かを得て何かを失って、それでも立ち上がっていく。」

人間は、愚かなんだ。
でも、弱い生き物ではない。






「僕も馬鹿だ。守りたい人がいるから戦っている。根本的なところは君と同じだよ。」

同じからこそ違う。
自分の居場所を守ろうと、守るだけではなく戦って守ろうとする。

守られるのではなく、
戦って守ろうするのだ。

だからこそ、自分と似ていると思えた。

「大丈夫、過ちは終わらせる」





人間が過ちを侵したのなら
過ちを正すのも人間なのだ。





















+あとがき+

公式CPは、やはりアスキラなんですね(断言)させてもらった回w。
メイリンが、このままAAに残るとしたら今の状況を誰かが説明しなきゃどうにも
ならないだろうと!
アスランに聞くにもアスランだってAAのこときちんと知っているわけないと思ったので。
言わせたい言葉が、
“こんな風にしか生きられないオレはバカなのか?”と
“皆バカなんだよ。“戦争”から戦ってしか守れるない。
何かを得て何かを失って、それでも立ち上がっていく。”
をいって欲しかっただけ。


20050830