If Story 〜PHASE 34



急に頭が冷えていく自分が目の前にいた。







残ったものは後悔。







何故、AAに戻らなかった?


何故、キラのそばにいてやらなかった?


どうして、ミネルバに俺はいる?


どうして、シンのそばにいる?







チガウ ダロウ ?
















ホンライ イルベキ ジブンノ ソバハ...───
















「何故撃った?」

問う声は静かでだからこそ迫力があった。

だけど、静かな怒りをバカにするかのようにシンはあざ笑うと真っ正面に睨みつけた。

「あれが、ステラを奪ったからです」

戦争が似合わない彼女を、戦争のない平和な世界へと返すために返したのに。

“戦争”の意味さえ知らないで戦っていただろうステラ。

そんな彼女を、キラ・ヤマトは知らずに殺したのだ。

先の英雄だか何だか知らないがステラを殺した本人を許せるはずもなく。

だから、撃ったと。







後悔なんかなくて、

悲しみさえもステラと共においてきた。



ただ、無性にある感情は“戦争”に対しての憎しみではなく“キラ・ヤマト”に対しての“憎悪”のみ。






憎くて



憎くて



殺したかった。








キラ・ヤマトが自分の両親を奪ったからキラ・ヤマトが大切に思っているアスラン・ザラを奪ったのだ。

“ミネルバ”に縛り付けてキラ・ヤマトのもとへと返さないように。

だけど、キラ・ヤマトはオレの両親を奪うだけでは足りなかったのかステラさえも奪っていった。






力を持っていたはずなのに、


守る力があったはずなのに、


キラ・ヤマトからステラを守れなかった。




マユやステラの仇を撃ちたくて、撃ったのに何故目の前にいる彼は喜ばないのだろうか?“敵”を倒したのだ。

同じ艦にいて、先輩面する彼が喜んでくれると思ったのに。





「戦争が嫌いじゃなかったのか?」

「嫌いですよ。ただ、大人たちの欲のためのものなんかに沢山の人の犠牲を前にするものなんて。」











「だけど、あのこととは別です。」





「...感情に任せて行動していたらいつか身を滅ぼすぞ。」

知ったかぶりに話す彼に自分の気持ちが分かってたまるか。

「覚えておきますよ。」

皮肉たっぷりに感情を込めて一言言い放つと、もう話したくないのかシンは場を離れた。












身を滅ぼしたって、キラ・ヤマトを殺せば別にどうなったっていいんだ。



「そうやって憎んでいたら、いつか間違いに気づいた時、一番傷つくのはシン自身なのにな。」

発する言葉は周りには誰もいないため誰の耳にも届かない。

本当は、それをシンに伝えなければいけないのだが今のシンには反感を買う言葉の一つに過ぎないであろう。

どうか、自分と同じ過ちを繰り返さないでくれ。

と思いながらも、それ以上にキラの心配が頭をよぎることに口元に笑みがこぼれた。
















+あとがき+

34話の感想を見て。←あくまで感想。
マトモに運命を見ていないのでアスカがキラを撃ったとしか知らないんですよね;;
でも、それに対してアスランならば何か反応をするだろう!と。
「矛盾した心のまま、あくまで自分の中での立派な考えを覆すことなく真っ直ぐ進む。
間違っていると知らず、思わず、前ばかりを見ていつか身を滅ぼしていく。
沢山の仲間が犠牲になっても。」
私から見てアスカの印象ってこういう感じなのです。
だから、キラが憎くてアスランを側には置いておかないようにさせようと考えたりするというか。
子供の独占欲みたいな感じですかね。
それでも、大切なものを守りたいという思いは誰よりも強いと思ってます。









20050924