「二人きりにしてくれ。」

呟いた言葉に彼女らは一つ肯きオレ達に向かって微笑むと去っていった。





If Story 〜PHASE 24












彼女らが見えなくなるとキラはクスッと笑った。
「僕とじゃなく彼女と話したかったんじゃないの?」
確信めいた笑みで言われた“彼女”はキラと双子の現在のオーブ代表。
「いや、お前と話がしたかったんだ。」
当たり前のことを聞くなと言っても、
「ふ〜ん、そうなんだ。」
冷ややかな目で何かを訴える。




仕草は可愛らしいと言えば可愛らしいのだが、どちらかというと憎たらしいのほうが遙かに大きい。
コイツいつから、こんなヒネクレたんだ?





「で、何?」
話題に厭きたのか、はたまた遊ばれていたんじゃないか?と思えるぐらいに呆気なく話を変える彼。
「キラ?」
答えさえ返していないのに一人で先に話を進めるキラに待ったをかけようとするが、やはり先手をとられる。
「アスランは僕のモノでしょ?だから、聞かないであげる。」
暗に“僕はアスランのモノ”だと言いオレの愛機であるセイバーを見上げた。
くそっ、先に言いたかった言葉をとりやがって。













「道は違うか。」

静かに呟かれた言葉は静寂の場であるここでは、聞こえてしまうもの。
オレに背を向けるキラの肩が小さく見え、抱きしめることに躊躇してしまう
。 「違う」と言いたかったが道を変えたのはオレのほうかもしれないと思うとそうは言えなかった。

























「“どことなら戦いたいか?”」
いかぶしげにセイバーから目を話してオレのほうを見た。
幼いときに見せていた満面の笑みを見かけなくなったな。と、どこか頭の端で思いながらも目で先を促すキラに言葉を続ける。
「言われたんだ。オーブと戦いたくないって。」
今は亡き自分と同じ“フエイス”を持つもの。
意志をしっかり持つ彼の瞳はちゃかすような仕草をしながらも、先の戦いを見ていただけあり彼なりの何かを持っていたと思う。
前線で戦っていたオレよりも確かなを考えを持っていた。










「“戦争だから割り切れ”と。そうじゃなければ迷いがでると。そうかもしれないと思った。」
どことも戦いたくないと言うのは所詮逃げ。
守るためには戦うことでしか守れないのだと。






          パンッ
「っ!?」



一瞬何をされたか、分からなくて、だけど両頬には痛みがあって。
キラに、両頬を両手で叩かれたのだと分かった。









何をするんだ?と問いただそうとする前に、キラは、両頬に両手を当ててきて自分の視線を見るようにと強制的に向けさせる。
キラのアメジストの瞳は真剣そのもので、


「惑わされないで。“答え”は僕にも分からないけど、だから人の行動・言葉を自分で聞いて見て判断している。間違ったコトがないかも」


意志はしっかりと持って進んで。
進んだ道が違ったら絶望しないで一つでも修復する時間に費やして。
助けがほしいなら、その時は僕を頼って?








ふわりと笑って言われた言葉は、ストンっと心に入っていった。









不甲斐ない自分につい追従笑いをしてしまった。
























+あとがき+

書いたのは最近なのに、いつの話だろう?と探してみたら24話の話で驚きです。
この回は結構お気に入り。
アスランが弱音をはけるのも、キラが弱音をはく相手もお互いしかいない。ってことが嬉しかったです。
アスキラと叫ぶ前に、やっぱり親友同士なんだなって思わせてもらいました。
何だか、中途半端な終わりっぽいですけど捏造ものならこれでもいいかな?と...
(既に、逃げる状態は整ってますw)


20050908