僕たちは迷いながらたどりつける場所へと探し続ける。






<僕たちの行方。>





敵なんて知らずに出会った。

きっと知っていてもいつかは出会っていただろう。

いつまでも知らないままじゃない。

いつまでも知らないままじゃいられない。









それは、両親と妹を亡くしてから知ったこと。







変わる思いと変わらない想い。

















「オレが守る。ステラを守るよ。」

抱きしめる身体は、やわらかくて守らなければと自然と思わせる。

戦わせたくない。

戦いたくない。

「ステラを守る?」

背中から聞こえる声は疑問めいた言葉。


“守る”と言う意味を知らないのか。


“守られる”ということを知らないのか。


「あぁ、守るよ。絶対に。」

辿りつく世界は一緒なはずなのに道は違う。

信じるものが違うだけで道が違うのだ。







だけど、

「ステラも....」

「んっ?」

「ステラもシンを守るよ。」

幼い僕らは現実を直視してさえ、なお夢を見る。

信じようとする。

だって過去を振り返っていたばかりいた自分に今を見せてくれたのはステラなのだ。

守りたいと思わせる存在に出会えたのはステラのおかげ。

過去を消し去ろうとは思っていない。

忘れようとも想わない。

ただ前へと進む。

進む道を教えてくれたのはステラ。

「あぁ、ありがとう。」

「“ありがとう”?」

意味を知らないのだろう。

首を傾げて尋ねてきた。

「感謝の気持ちのことだよ。」

「“感謝の気持ち”?」

表現が難しすぎるのだろうか。

頭を掻いて考え込んで

「心から嬉しいと言えることだよ。」

ステラの手をとり自分の心臓のほうへとかざす。

トクントクンと奏でる優しい旋律。








(生きている。)






ステラも

。 シンも。







「シン。」

真っ直ぐに自分を見つめる視線を前にしてステラはふわっと笑んだ。

「ありがとう。」

「えっ?」

曇りのない本当の笑み。

「ステラもシンといると嬉しいと感じる。だから、ありがとう。」

「あぁ。」

意味が違うような気がするが自分といて嬉しいと感じられるのは嬉しい。











僕たちはまだ迷いながら


たどりつく場所さえ知らずに


探し続けている。






だけど、少しずつ少しずつ何かを知って

何かを感じて前に進んでいる。





それを運命というか

それは運命といえるのか。

決めるのは自分自身。

なら、オレはステラと出会えたことを運命といおう。







+あとがき+

コンセプトは、3クール目のOP。
アスキラ曲にも聞こえなくはないけれどシンステに聞こえてしまったのでちまちま書いたもの。
ノーマルCPも書いていますがレイシンも好きですよ。
ただ、レイはシンにとって守られる存在でも守る存在でもないととってるので。
シンステはステラを守りたいと思うシンの勝手な自己満足。
ステラの心情としては守られるだけの存在になりたくないって少し意地っ張りなところもみたいですね
(所詮願望さ。)

20050501